セールスマン

「あの~、アールコー社の者ですが。弊社では、このたび、『セールスマン撃退装置』という大発明をしまして、特別に選ばれた方にのみ訪問販売を実施しております。是非、この機会に、一台お買い求め。。。」
とセールスマンが言い終わらないうちに、そのお家のご婦人はセールストークを遮った。
「わたしの家には、その機械は必要ありませんわ。」
「ああ、これは大変失礼いたしました。どうもすみませんでした。お詫びと言っては何ですが、これをお収めください。」
と、そのセールスマンは、その婦人に厚めの封筒を渡して、そそくさとその家を出て行った。
『トーマロー社のセールスマン撃退装置って、セールスマンを追い返すだけでは無く、慰謝料として現金を置いて行くって、本当だったんだわ~。』
と、その婦人は顔をほころばせた。
その頃、その家の門では、
「ご婦人には喜んでもらえたようだな。偽札とも知らずに。。。まあ、たとえ偽札だとばれても、責任は商売敵のアールコー社に行くだけだしな。」
トーマロー社のセールスマンは、次の訪問宅へと颯爽と急いだ。

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