拾い物

「ねえ、ねえ、てっちゃん。来てーっ。」
「なに、なに、まゆみちゃん。わぁー、かわいいーっ、仔犬。」
「捨てられちゃったんだね。かわいそうだね。まゆみちゃん家、飼えない?」
「わたしん家、いま、シロがいるから。。。」
「だよね。一回、僕ん家のママに聞いてみるね。」
てっちゃんは、その仔犬を拾って、マンションに帰って来た。てっちゃんは、マンションの2階でパパとママの3人で暮らしていた。実は、てっちゃんは大の動物好きで、捨てられた動物を拾ってきては、いつもママに叱られていた。
ピンポーン。玄関の扉が開いた。
「ママ―っ、この仔犬飼っても良いでしょう?」
「ここはペットを飼えないマンションだから、ダメだって言ったでしょっ、前に。拾ったところに戻してらっしゃい。」
と、てっちゃんはいつもように叱られた。
でも、別の日には。
「ママ―っ、この仔猫飼っても良いでしょう?」
「何度言ったら分かるの、この子ったら。」
と相も変わらず、叱られる羽目に。
休みの日には、
「ママ―っ、この小鳥、友達にもらっ・・・」
「もう、今日と言う今日は怒りましたよ。今度、動物を連れてきたら、これよっ。」
と拳銃が小鳥に向けられ、その後、空に向かって拳銃が放たれた。
バキューン。
バサ、バサ、バサッ、、、小鳥は鳥かごの中で驚いて羽ばたいた。
翌日の月曜日。昼過ぎに、てっちゃんのパパは気分が悪くなり、会社を早退することになった。てっちゃんは下校の途中で、帰宅中のパパに出会って、一緒にマンションに帰って来た。
ピンポーン。
てっちゃんは、颯爽と玄関の扉を開けた。ガチャン。
「ママ―っ、あのね、・・・」
てっちゃんがそう言ったとたん、リビングの扉が開き、ママの右手に持たれた拳銃の引き金が、てっちゃんの横にいる動物に向かって引かれた。
パーン、パーンっ!
ママが放ったのは、、、パパが胸元を見ると、
「ママ、ひどいよ。」
そう言ったパパの白いワイシャツは、ケチャップまみれになっていた。

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